保育を福祉からサービスへ

保育所不足を訴えるブログが話題となっている。保育所不足は解消できるのか。これに対する回答が3/17日経「太機小機」保育を福祉からサービスへ、吾妻橋氏が提言する。

この提言を導入すると、コストに見合う保育料を中所得以上の家庭が負担することになるので、中所得以上の家庭にとって保育料は上昇する。これには政治的な反対が多いかもしれないが、無限に税金を投入できるものではないことを政府は国民に説明しなければならない。保育士の賃金は市場実勢に見合うものになるので、保育士不足は解消されよう。「育児保険」は、子供を持たない人々にとって負担が増えるだけであるが、彼等には子供がいることによる便益をフリーライドしていることを納得してもらわなければならない。

2014年の保育所と幼稚園の数。
保育所 24,425 幼稚園 12,905
2014年の利用者数。()内は2005年。
保育所 227万人(199万人) 幼稚園 156万人(174万人)
(注)従来の幼稚園では14時から15時位に終業となってしまうため、それ以降の時間に母親が対応できず、夜まで対応可能な保育所の需要が増加している(保育所利用の約6割は、幼稚園にも通える年齢の3歳以上である)。

吾妻橋氏の提言:
1. 全国で2−3万人程度の待機児童なら対症療法ですむ。しかし、5歳以下の630万人を潜在的な保育需要とみなせば、制度の抜本的な改革が不可欠となる。
2. 保育所が需要に見合った数に増えないのは、……、限られた数の低所得家庭にコストを度外視した料金でサービスを提供する仕組みでは需要超過になるのは当然だ。
3. 保育所を政府が責任を持って提供する福祉と考えるから財源問題が深刻になる。しかしこれを潜在需要の大きな市場と考えれば、企業にとっては大きなビジネスチャンスだ。
4. 財源として、「育児保険」が考えられる。