金融緩和と消費増税のダブルパンチ

個人消費が伸び悩んでいる。
9/7日経は、「夏の天皇不順に加え、増税による物価上昇ほど賃金は増えていないためだ」とする。そして「当面は設備投資が景気を支える公算が大きい」と観測する。

だが内需も外需も弱いのに設備投資が「支える」というのは、希望的観測である。法人減税が設備投資を引き出すという考えが正しければ、税率の高い今のうちに設備投資を行い損金を先行計上し、収益は税率の低くなった時に計上するのが合理的であるのに、そのような動きは見られない。
需要が弱いので、企業は踏み切れないのが実情であろう。

家計にとっては、異次元金融緩和と消費増税はダブルパンチで効いている。8月のコアCPI (下記参照)は、3.3%の上昇で、消費増税分は2%、それを除くと1.3%であった。

14年4月からの消費増税を決めた時に、日銀の異次元金融緩和は想定されていなかった。異次元金融緩和を決めた時に、消費増税の実施時期を見直すことはできたはずであった。異次元金融緩和を先行させ、その効果により景気が過熱気味になってから消費増税を実施するという段階的方策を採用できたのではないか。アクセルを踏んでスピードが出てからブレーキを踏むのが普通のやり方だが、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる。

政府としては消費増税の景気へのマイナス効果を認めることは、アベノミクスの否定であり、今後の消費増税への道を閉ざすものであるから、できないのだろう。だから、天候不順を主犯に仕立て上げよるとする。それは冤罪だね。97年の消費増税も、アジア危機や金融不況などを主犯にしていたので、教訓を汲み取ることができなかった。今回も、天候不順を主犯にすると、また将来に誤ったメッセージを伝えることになる。

ブルームバーグ 
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NB03JO6TTDS501.html

8月29日(ブルームバーグ):7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI )は14カ月連続で上昇した。伸び率は前月と同じだった。
7月の全国コアCPIは前年比で3.3%上昇した。総務省が29日発表した。プラス幅はブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値 と同じだった。日銀は消費増税がフル転嫁されればコアCPI前年比を2.0ポイント押し上げると試算している。この押し上げ分を除くと7月は1.3%上昇となり、前月と同じだった。