税率のフラット化を目指す政府 ビルトイン・スタビライザー(自動安定化装置)は有効でなくなったのか

消費税の長所として、景気動向に影響されずに安定した税収が確保できることがあげられている。もっともらしいけれど、本当はそれが経済に悪い影響を与えていることを知ったほうが良いね。安定した税収とは財政当局にとって予算を立てやすいということであって、それが経済に良いか悪いかは別問題なのだから。

最近では目にすることは少ないけれど、財政における税のビルトイン・スタビライザーという言葉があった。景気が悪ければ税収は減って、良くなれば税収も増える。それによって、景気の落ち込みに歯どめとなったり、過熱を抑える。

消費税中心のフラットな税率の社会では、景気が落ち込んでも税収は「安定」しているので税負担が過大になり景気を更に下押す。逆に過熱しても、税負担は過小になって過熱を更にあおる事になる。

ビルトイン・スタビライザーの考えを応用すると、景気低迷期には消費税率を引き下げる、景気過熱期には消費税率を引き上げる。このようなことが機動的に出来るならば、景気変動に対し税が有効に働いていくことになろう。経済の最大のエンジンである個人消費に直に効いてくる。毎年恒例の補正予算の編成から開放される!

税のフラット化は着実に進んでいる。消費増税と法人減税の組み合わせ、外形標準課税の拡大、キャピタルゲイン課税、利子配当の分離課税など。12/19大機小機ミストには「法人事業税を抜本的に見直し、地方消費税に置き換える」とか「法人税や金融所得の税率を一律25%程度にし、勤労所得は累進課税」という提案があった。その先にはアメリカ型のウオール街が牽引する経済という見取り図があるのだろうか。
フラットなキャピタルゲイン課税ではバブルの時、沈静化するためには金融引き締めしかないのだが、予め累進課税の体系にしておくかその都度税率を引き上げるかことが出来れば金融は緩和したまま税収を増やすといういいとこ取りができる。このことは既に、平成26年1月1日から株式譲渡益課税を10%から20%に引き上げたことで実証済みである。株式市場は打撃を受けるどころか依然快調である。税収は5千億円前後か。

税と景気は相互に関連すると考えるのが普通ではないだろうか。どのような勢力が税のフラット化を進めているのだろうか。