TPPから生まれる余剰労働力

建設業界では職人が不足して海外から技術者を受けいれる案が検討されているそうだ。安倍内閣の賃上げ方針とどのような整合性があるかは良く判らないけれどそれは置いておこう。

政府の役割は国民に十分な職を保障して国民が安心して暮らせるようにすることだ。国内で労働者が不足して成長の壁にぶつかっているなら海外から労働者を受け入れることも一策である。ところが中期的には日本では労働力が余る部門がありそうだ。その余っている部門から不足する部門に労働者を移すことにより失業を避け、労働者に充分な報酬を払うことができる。ひいては財政再建にも有効であろう。

政府は農業所得を2倍にする目標を立てている。これを確実に実現する方法は、農業従事者を半分に減らすことだ。TPPは有効なツールである。アメリカの主張を呑むことは、安全保障の観点から正当化できるのではないか。軍事的に対抗するというのは、ちょっと洞察が足りない気がする。

農業で残れなかった半分は職を失う。その半分を建設などの労働者が不足する部門に誘導するのが、政府の役割ではないだろうか。目先は海外の労働力に期待するしかないかもしれないけれど、中期的には、国内の余剰部門からのシフトを行うのが国全体で資源の無駄を無くす方法である。誰もがハッピーというわけにはいかないけれど、少しでも痛みを減らすのが政治ではないか(改革には痛みを伴うという勇ましい意見もあるけれど)。専業主婦にムチを当てるよりは国民に優しいのではないか。