11/2日経社説「ネット配信の内外不平等をなくす税制を」

11/2日経社説「ネット配信の内外不平等をなくす税制を」
冒頭のパラグラフ。

電子書籍や音楽などをインターネットで日本企業から買うと消費税がかかるが、外国企業の場合はかからない。こうした制度の抜け穴が来春からの消費税引き上げを控え、問題となっている。政府も税制の見直しに動き出した。日本のネット市場を育てる意味でも公平な競争環境づくりが必要だ。


もっともらしい主張であるが、理論的な根拠はあまりはっきりとしない。社説は税収や日本企業の競争力という利害だけに着目していて、説得力は弱い。本来なら課されていた消費税は最大250億円だそうだ。

現在の税制では情報を提供するサーバーの設置場所を基準として課税している。社説はこれを消費地を基準とすべきであると主張する。その理由は、欧州では外国企業に事業者登録と納税義務を課していることである。ただ、企業が従わなければ意味がないと実効性のないことを認めている。


ネットで情報コンテンツを買うという行為は、購入者がサイバー空間の中で国境を越えてコンテンツ提供者のサーバーにアクセスすることである。コンテンツ提供者が購入者のPCやスマホに入り込んで来るのではない。これは、海外旅行者がニューヨークの本屋やCDショップで商品を購入するのと変わりない。サーバーの設置場所を基準として課税するのはニューヨークの本屋やCDショップが納税義務者となるのとは変わりない。外国企業に納税義務を課すのは無理がある。

確かに税関では、旅行者が海外で購入した商品を自己申告して納税する建前となっているが、現実には個人が私的に利用する範囲では見逃されている。ネット購入だけをねらいうち的に課税にかじを切るのは乱暴ではないか。

日本が将来コンテンツ大国となって大幅な輸出超となったときに、消費地課税という税制は逆に足かせとなりかねない。