岐路に立つ民主党

総保守化が行きつく先の政界の見取り図はどうなるのだろうか。

自民(67)公明(11)合わせて76議席、与党を補完する立場の維新、みんなの各8議席を加えると合計92議席。121議席中、76%を占める。単純にねじれが解消されたと喜んでよいのだろうか。

アベノミクスに限ると、「信任された」(7/22日経)と評されているが、信任されたからといってアベノミクスの正しさが証明されたものではない。


民主党は岐路に立たされている。このままでは第2の社民党として消滅へ向かうのか、この敗戦をばねとして健全な野党に変身して生き残るかである。総与党化しつつある政界で、健全野党として有権者に選択肢を提供するのは、かって政権を担った政党としての責務であると思うのだが...

民主党が生き残るには、経済政策ではアベノミクスの実現に全面的に協力することではないだろうか。選挙中の主張とはかけ離れた意見と受け取られるかもしれないが、アベノミクスが成功しても全ての国民がハッピーになることはありえないことは、アメリカのQEがもたらしたものを見れば分かることである。単純に言えば、富める者は一段と豊かになり、普通かそれ以下の大多数は経済成長の果実をあまり得られない社会である。民主党の役割は、アベノミクスに協力しつつ格差が拡大するような政策に歯止めをかけることにあるのではないだろうか。

もうひとつの重要な役割は、総与党化しつつある政界でアベノミクス以外の次の一手を用意しておくことである。アベノミクスは成功が約束された魔法の杖ではないので、行き詰ることもありうる。その時に経済にダメージを与えず撤退する策を用意しておくことが、出番がなかったとしても、必要である。そしてその後にアベノミクスに代わる第2の政策の矢を放たなければならない。


総与党化した政界の中では、与党議員が反アベノミクスを論じることは物言えば唇寒しの空気があるだろうからこそ、健全野党の対抗軸が必要なのである。

多様化した政界こそが変化の激しい時代を切り開いていけると期待したい。