Scare Tactics (脅し戦術)を弄する政党

Scare Tactics は恐怖感を煽り立て扇動者の意図する方向へ大衆を誘導する戦術である。これは厄介なものだ。客観的に分析すればそれは一面の見方でしかないことに気付くのであるが、何がしかの真実を含んでいるから、ついそれを信じてしまいそうになる。


各党の選挙公約が少しずつ出てきているが、中小政党は反原発で一致している。それは選挙戦術上合理的に見える。彼らには過半数を制して政権を握るという展望は持たず、一定数の議席を取ることを目標としているからだ。


情けないのは、政権与党の民主党と政権を取る可能性の一番高い自民党である。


民主党は政権与党として現実的なエネルギー政策を打ち出さなければならないのに、原発の恐怖だけを前面に出して有権者の支持を得ようとしている。政権与党としての責任は、原発のリスクと原発のないリスクを評価する枠組みを作り、その中で客観的に判断する政策意思決定過程を作り上げることである。Scare Tacticsを弄する民主党は、野党に先祖帰りしていると言われてもしょうがない。


自民党は腰が引けている。国防軍とか尖閣常駐とか威勢のよい右翼的主張はあるのに、原発では「遅くとも10年以内に電源構成のベストミックスを確立」とスピード感が全くない。具体策も提示されていない。選挙を意識する余り、責任政党として必要なことを有権者に訴えるという姿勢が希薄である。必要なのはリスク評価の枠組みをどう作り上げるかである。

混沌の中小政党の中に第五極として原発党でも出てくれば面白い。