「外れ馬券は必要経費」脱税公判で男性無罪主張

「外れ馬券は必要経費」脱税公判で男性無罪主張
2012年11月29日 読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121129-OYO1T00958.htm?from=main2

04年頃、競馬専用の口座を開設して約100万円を入金し、競馬予想ソフトを使って、過去の戦績などから勝つ確率の高い馬を選ぶ方法を独自に開発した。馬券の購入にはインターネットを利用し、仕事のない土日に全国の中央競馬のほぼ全レースで馬券を買い、配当収支の黒字が続いていた。

男性の弁護人らによると、男性は07〜09年の3年間に計約28億7000万円分の馬券を購入。計約30億1000万円の配当を得ており、利益は約1億4000万円だった。

 大阪国税局は税務調査の結果、配当額から当たり馬券の購入額を差し引いた約29億円を一時所得と認定したとみられ、無申告加算税を含む約6億9000万円を追徴課税し、大阪地検に告発。地検が在宅起訴した。
(略)
男性は、課税を不服として大阪国税不服審判所に審査請求している。

利益が1.4億円なのに追徴税額が6.9億円では、この人は払えるわけがない。
どうしてこんな不合理があるかというと、国税当局は必要経費について「収入の発生に直接要した金額」と定めた同法を根拠に、競馬の場合は当たり馬券の購入額のみと判断しているからだ。確かに所得税基本通達にはそのような定めがあったようだ(未確認)。はずれ馬券を必要経費にすると、はずれ馬券を拾ってきて必要経費にする不埒者がいるからだと思われる。
だが現実にはほとんどの馬券購入者が赤字であるし、この人にしてもてら銭として25%はピンはねされているのだからそう目くじら立てることはない様に思える。同じ銀行口座で馬券収支が明らかになっている場合には、不正な必要経費参入はないのだから一つの継続・反復する事業とみなしてネットで算定するのが血も涙もある税の運用といえよう。

それはそうとして、そんな必勝法があるとはすごい。これは的中馬券の出現パターンと人々の馬券購入パターンに違いがあるから起きる現象なのであろう。過去のデータを調べてそのズレを知った人が勝者になれる。だがこんな怖い税の罠があっては手を出せない。

3年前にも同じような事件があって、中心人物の英国人は出国して、税を徴収することが出来なかった。

2009/10/9
「競馬で得た配当金を脱税」  競馬万事 塞翁が馬
http://blog.ap.teacup.com/ruffian_turfman/25.html

<配当160億円所得隠し 競馬予想プログラム会社に指摘 東京国税局>

競馬予想プログラムなどを作成するデータ分析会社「UPRO」(東京都渋谷区)が、
平成19年3月までの3年間に競馬で得た配当金を申告しなかったとして、
東京国税局から約160億円の所得隠しを指摘されていたことが9日、分かった。
追徴税額は重加算税を含めて約60億円とされる。
同社は課税処分を不服として異議を申したてているもようだ。

東京国税局は昨年、法人税法違反容疑で同社に対し査察を行ったが、
その後に英国人の社長が海外に出国。
海外での身柄の拘束ができないため告発を見送り、
任意調査による課税処分に切り替えたとみられる。

関係者によると、同社は出走馬の血統や天候など各データを使って
独自の競馬予想プログラムを開発し、結果を予想。
ただ、実際には倍率に応じて掛け金を変えた上で、ほとんどの組み合わせの馬券を購入。
1レースで数億円を稼ぐなど巨額の利益を得ていたが、
税務申告していなかったという。

競馬の配当金は所得税法上、課税対象で、
配当金から馬券代と特別控除(50万円)を引いた額が一時所得となり、
所得が発生すれば課税される。
ただ、今回のケースについて、東京国税局は競馬予想プログラムの開発と
競馬予想を会社の事業として行い、配当金を通常の収入とみなして
法人税法を適用したとされる。

国税局は配当金など資産の保全差し押さえの手続きをとったが、
大半は親会社のある香港に移されており、
差し押さえ額は約20億円にとどまったもようだ。

■ 10月9日11時0分配信 産経新聞 より抜粋 ■