日本の製造業、日経経済教室、三菱重工・日立の電力事業統合

11/30日経経済教室「家電不況の教訓、下」「産業の発展過程重視を」「成熟度で組織見直し」「戦略転換遅れ、収益に直結」
柴田友厚・東北大学教授
ポイント:
・ 産業の発展過程に応じて経営合理性は変化
・ 次第に暗黙知重視から形式知重視へと移行
・ 成功体験がもたらす組織の慣性から脱却を

企業は一度成功した仕組みをいっそう強化させる方向に様々な意思決定を進める傾向があるからだ。実際、シャープは09年に稼動した堺工場で、亀山工場の垂直統合をさらに進化させて完成度をいっそう高めた。

変化のスピードが激しいほど、目先の現象への過剰反応ではなく、根底にある大きな産業潮流をつかむことが重要である。

そうは言うものの、現実の渦中にいる者にとって潮流を掴むことは至難である。だから優れた経営者は少なく、凡庸な経営者が多いのだろうけれど。


11/30日経は三菱重工と日立の電力事業統合を報じていた。昨年夏に構想が浮上したが、いったん頓挫したかに見えた。統合新会社の売上高は1.1兆円、営業利益は517億円。将来的には、原子力や都市交通システムも統合することを視野に入れる。新会社へは三菱重工が65%、日立が35%出資する。得意のすり合わせ技術でリーディング・カンパニーとしての発展がなるかが注目。問題は収益性の低さ。将来的には大合同もあるのだろうか。

- 重工・日立 GE   シーメンス 仏・アルストム
売上高(兆円) 1.1 2.5 2.9 1.1
営業利益(億円) 517 4,100 4,400 1,100