内部留保への課税は既に行われている

小池党首が内部留保課税を主張している。
評判は良くない。曰く「二重課税である」、「大して税収は伸びない」が主な反論である。後者はどんな徴税モデルを念頭においているのかわからない無責任な論である。前者は主張のとおりだが、既に内部留保に課税されていることに対しても反論しなければ片手落ちである。

既に課税されている内部留保は次の二つがある。
1. 法人事業税の資本割の部分である。資本金と資本積立金の合計の0.2%が課税対象となる。利益積立金を資本や資本積立金に振り替えた場合に留保金課税の対象になる。
付加価値割は賃金などに0.48%をかけた額が課税対象となる。ここでは、外形標準課税が賃金上昇のブレーキになっている。
2. もう一つはその名もずばりの同族企業の留保金課税である。
ウィキの説明: 特定同族会社のみに対して行われ、全企業が対象ではない。これはオーナーが支配力を持つため、所得税の課税回避のために過剰に企業内に留保を行うのを減らすための誘導である。 課税留保金額に留保金課税の税率を定めて決められる。課税留保金額は留保金額から留保控除額を引いて定められる。

同族会社への留保金課税はフローに課税されるのに対し、世間で批判されているストックに課税される「留保金課税」(そのように思い込んでいる)とは異なるが、それは計算方法の違いであって、本質的なものではない。

小池税制で注目されるのは、今世紀になって続いてきた、消費増税・法人減税のトレンドに歯止めをかけることにある。消費増税・法人減税は、消費低迷と法人の利益増加それに伴う株高をもたらしてきた。この傾向を止めれば消費拡大と法人の利益減少それに伴う株安を招くであろう。どちらが良いかはこれまでの人々の生活実感によるだろう。ただ消費拡大があれば、法人特に内需型企業の利益減少はかなり和らぐのではないだろうか。困るのは1%の人々。