日本の製造業 Designed by Sony in Tokyo. Assembled in China.

これはアップルのDesigned by Apple in California. Assembled in China.をお借りした標語。

今日の日経には、ソニーが電池事業から撤退することが報じられている。韓国勢との競争が激しいからだ。これで、シャープ、パナソニックに続いて御三家とも称された日本メーカーがこの分野から縮小か撤退することになる。日本メーカーはもはや垂直統合とかすり合せ技術の神話から脱け出して新たな世界的サプライ・チェーンを構築するときに来ているのではないだろうか。

本日の日経経済教室「家電不況の教訓」は日本企業の比較優位と比較劣位を述べている。
早稲田大学准教授・長内厚氏「海外主戦場から逃げるな」「低価格市場で勝負を」「技術革新、性能より工程で」
ポイント:
・ 中国や韓国との賃金格差を言い訳にするな
・ 韓国ブランドは新興国の低価格市場に浸透
・ 日本が主導権とり台湾や中国企業と協業を

長内氏は日本企業の比較優位と中国・台湾企業に対する比較劣位を次のようにまとめている。

日本の家電メーカーの特長は新しい技術で新しい製品をつくるという創造性にある。創造的な活動には試行錯誤に伴う無駄が発生する。一方、ステップ・バック戦略(一歩引く戦略、要するに物まね戦略)の台湾、中国企業は新たなチャレンジをしないので、試行錯誤による無駄はなく、生産の効率性を高めることが得意だ。両者の関係は競合ではなく共生である。

その例を次のように掲げる。

ソニーはメキシコや欧州のテレビ工場を台湾・ホンハイに売却し、引き続きソニーブランドの製品をつくっている。「開発はソニー、生産はホンハイ」という垂直分業であり、日本企業と台湾企業のそれぞれの良さを持ち寄った協業といえる。


このような産業界のダイナミックスの中、民主党マニフェストは相も変らぬ製品中心経済観しか持たず、しかも誤った方向へ誘導しようとしている。
民主党マニフェスト 3.エネルギー④あらゆる政策資源を投入し、再生エネルギー・省エネルギーを飛躍的に拡大する」

その中で、太陽光、燃料電池、蓄電池が掲げられているが、もはや日本企業が撤退しつつある分野で、そこへ「あらゆる政策資源を投入し」ても韓国企業や中国企業を利するだけで、高い電力料を払う家計や産業界に見返りはない。

グリーン・エネルギー政策は各国で失敗が明らかになっていた証明済みの政策なのに、いまだに執着する民主党は何を考えているのか。まして2030年代なんて先のことをどうやって見通せるのか。