「電力不足 西日本で3.6%」「今夏 9社、安定供給遠く」

4/24 日経 「電力不足 西日本で3.6%」「今夏 9社、安定供給遠く」

東京電力の需給を見ると昨年の試算では供給力が800万KWも不足したのに、今回は250万KWの余剰に転じた。(中略)このうち節電効果が610万KWと実に6割を占める。「初めて徹底した節電をもとに需給見通しをつくらせた」(資源エネルギー庁)効果が表れたという。

戦時中をトレースするような展開ですね。供給不足という大敵に節電という竹やりで勝とうとする。味方の戦力(供給力)にあわせて相手の戦力(需要)を考える参謀閣下殿。(エアコンは)欲しがりません、電気が来るまでは、かな。

結局この1年を無為に過ごしたことが節電という神風に頼る滑稽さにつながった。様々な手は打てたはずだが、今頃泥縄で埋蔵金ならぬ埋蔵電力を探してもすずめの涙ほどだ。論語、衛霊公第十五の三十「子曰わく、過(あやま)ちて改めざる、是(これ)を過ちと謂(い)う」。それでいて、発送電分離とか太陽光発電42円とか、中期的課題は進めていく。

いまもう打つ手はないのだろうか。いや、民間の知恵と活力を引き出してこの事態を乗り切ることは出来る。例を示してみよう。

例えば、関西電力管内のピーク時の不足を20%とする。
期間は、7月20日から8月20日の9AMから6PMとする。
病院、交通網、水道などは除けないので、それ以外の需要者(以下、単に「需要者」とする)のカット率を30%とする。

需要者のニーズは様々だ。夏場が稼ぎ時の需要者がいれば、夏は商売にならない需要者もいる。むしろ夏休みを取って休業したい需要者もいる。そのような需要者の様々な需要(プラスとマイナスの)をつき合わせる「電力需給調整市場」を創設する。そこでの電力料は需給で決まる。

ビール工場は30%の不足を必要ない需要者から買って穴を埋めようとするだろう。当然、市場での電力料は上がる。電力料が上がれば、夏休みをとって休業しょうとする需要者も出てくるだろう。もっと高くなれば、休業したほうが儲かる需要者が出てくるかもしれない。どこかで、需要と供給がバランスする。そのとき、経産大臣は高すぎるなどと介入してはいけない。

技術的な問題以外にも利害関係の調整や政治家の横槍があるので、実現性に疑問があるかもしれない。だが、真実は供給量までしか需要は出来ない。一番必要な需要者(高く買う需要者)に電気を渡すのが一番効率的なのだ。

八田達夫教授は、昨年10月に日経「やさしい経済学」で次のように述べていた。

大規模な天災はいつでも起きうる。しかも今冬や来夏のピーク時に電力が不足すると電力会社が表明している。それだけに、ピーク時に需要を抑制するシステムを構築し、抜本的に停電を回避する必要がある。(中略)計画停電と電力制限令を座して繰り返すべきではない。