日経・日曜に考える「どうする電力改革」 八田達夫氏 VS 小笠原潤一氏

2/19日経・日曜に考える「どうする電力改革」
阪大招聘教授・八田達夫氏、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)研究主幹・小笠原潤一氏

この対談はミスマッチだったかもしれない。小笠原氏のスタンスが固く八田氏の問題提起を掘り下げていく面白みに欠けている。IEEJの性格を考えるとしょうがないのだろう。

八田氏の経済学者としての発言。

市場を整備すれば自律調整の余地が広がり、計画停電は不要になる。今までは「需要がいくら増えても電力会社がそれを追いかけていくらでも発電します」という体制だった。そのため電力会社はピーク時用の巨大な余剰電源を抱え、コストも高くついた。需要家に節電を促す仕組みを作ることで、経済全体の効率が改善する。

電力改革の目的は、電力市場を整備して競争原理を高め、経済の効率化を図ることである。発送電分離はその手段であってゴールではない。まして、政府は、個別の電力会社の経営に関与することではない。国の役割は国民と産業界に高品質の電力を効率的に供給する仕組みを策定することである。10電力会社の合計売上高は約16兆円である。発電効率を1割アップできれば、電力会社の利益を削ることなく家計と産業界に1.6兆円の購買力とコスト削減の原資を戻すことができる。


八田氏の「ピーク時用の巨大な余剰電源を抱え」について。
電力の利用者は、契約価格のもとで許容されたKW数の範囲で最後の瞬間まで使い放題という「使用権契約」を電力会社と結んでいる。利用者が実際にほとんど使わない時間帯であっても電力会社は契約上限の供給責任を果たすために過剰な設備を抱えることになる。これが巨大な余剰電源となってくるのである。

この無駄を取り除くには、契約を「確定数量契約」にすることである。たとえば、3月20日の午前9時台の数量を契約で確定するのである。そのようにすることにより、電力会社は、時間別の供給数量を確定させることができるのでそれに見合う設備を維持すればよいことになる。