4/17日経 「不安再燃 スペインが震源」「国債利回り6%突破」

4/17日経 「不安再燃 スペインが震源」「国債利回り6%突破」

日経の報道のようにスペインがおかしくなってきた。だが、日経はその原因を「財政再建への明確な道筋を示せないスペインが再び市場の不安を読んだ」としているのは、強引な付会ではないか。「財政改革を矢継ぎ早に進めたイタリアと違って、後手に回ったスペインは深刻な景気低迷にも直面」と、原因と結果を逆転させてもいる。


4/15NYTのコラムでポール・クルーグマンが「Europe’s Economics Suicide」という物騒なタイトルでスペイン危機を分析している。教授のケインジアン的な論であるが、既に「大不況」に等しい状況であるという認識は日経よりはるかに深刻に事態を受け止めている。

スペインは真正の大不況の状況にあり、その失業率は23.6%で大不況時のアメリカに匹敵するものである、そして若者の失業率は50%を越えている。国としてもはやもたない状況まできているので、借り入れコストが上昇しているのであるとする。スペインは財政的にだらしなかったのではない。ユーロ危機前には対GDP債務比率は60%ほどで、財政は黒字を計上していた。スペインの不況は住宅バブルの破裂で生じ、不良債権が処理されていないからである。スペインの財政問題は不況が原因であって、財政が不況の原因になったのではない。

にもかかわらず、ベルリンやフランクフルトから来る処方せんはいっそうの財政引締めである。これは狂気の沙汰である。

現在のヨーロッパは、1930年代の大不況を忠実になぞっている。大不況から脱出出来たのは、金本位制からの離脱であった。それと同等の方法は、加盟国がユーロから離脱して自国通貨へ回帰することである。

ユーロを維持しようとするならば、ECBはインフレ率が高まるのを容認し、ドイツはもっと拡張的な財政政策に転換すべきである。

しかし、ユーロ諸国は財政規律を厳格化する協定に調印し、中央銀行首脳は少しでもインフレの気配があれば金利を引き上げると強調している。それゆえ、今後の進展には絶望感を抱く。その代償は、全世界が負わなくてはならないだろう。