名言か迷言か

名言か迷言か
4/16(月)日経 枝野経産相は15日、徳島市内の講演で「稼動する原発が5月6日から一瞬ゼロになる」と明言した。


この一年、政府与党は何をやっていたのか。今日の社説では、「現実的で持続可能な原発賠償支援を」と政府の尻を叩いていた。これまで政策らしいもので出てきたのは、発送電分離をどうするかと東電の支配権を握るかどうかという、本筋から目をそらすような優先度の低い課題を声高に言っていただけだ。この政党はポピュリズムに流され、自ら政策を訴え・説得するという自らも傷つくようなことからは逃げ回っている。


脱原発依存は大事かもしれないが、そのためには、長期、中期、短期、目先の優先順位を明確にしなければならない。そこから政策の体系が出来上がり、民間も事業計画を立案・実行できる。


この一年でできたことは、この夏の需給分析をし、原子炉を動かせるものと動かせないものに仕分けすることであった。その上で、漸進的に夏の三ヶ月だけ供給不足を補うため一時的に運転するということもできたはずである。例えば、通常30基が稼動していたとして、そのうち安全性の高い10基だけを3ヶ月だけ稼動させるとすると、リスクは少なくとも、通常より10/30×3/12=1/12となるので、安全性への懸念はかなり低くすることができる。そこから知見を持ち寄り、また、福島第一の調査も完了するのでその教訓を取り入れ、少しずつでも安全性を高めていくことができる。今の政府のやり方では、大飯の再稼動を認めるとそれは既得権になって次の定期検査までは自由に使えることになり、こちらの方がリスクは高くなる。


経産相の発言はエネルギー転換の号砲となる名言であるのか、迷言に終わらないことを願う。