東西の電気周波数 統一ならコスト10兆円

3/7日経 「東西の電気周波数 統一ならコスト10兆円」

記事の要約:
経産省は、電力会社の設備交換だけで10兆円のコストがかかるとする試算をまとめた。さらに需要家側も対応投資が必要であることを指摘している。経産省は「周波数の統一を現実的な選択肢とすることは困難」と評価。東西間の周波数変換設備の増強を電力融通拡大に向けた対応策の柱とする。

電力の融通に向けた施策であるが、1.東西で電気周波数を統一する、2.周波数変換設備を増強するという二案が示されている。経産省はコスト面から2に軍配を挙げているが、他に考えられる案は、3.周波数変換を行う電力量を発電できる能力を有する発電所を東西にそれぞれ新設するものである。


2のライフサイクルコスト(建設費、運営費、除却費用など全稼動期間中の総コスト)を考慮すると、高くつきそうに見える。というのも、実際にこの設備が稼動するのは、数年に一度であろう。あるいは、幸運にも大震災がなければ一度も使われることがないかもしれない。2によるメリットは、国内の電力設備全体の稼働率が効率化され、効率の悪い設備が廃棄されることであろう。だが設備稼働率が高止まりし原発が動かない現状では、設備削減のインセンティブは働きそうにはない。


3の電力設備を東西にそれぞれ設けるのは、無駄に見えるかもしれない。しかし、最新鋭の効率の高い設備を導入することにより国全体の電力設備の効率性がアップするのである。最新鋭設備をフルに稼動させ、低効率の設備をバックアップ用に残しておくのである。コストは、新設備の建造費と低効率設備の維持費である。これに対し目に見えるメリットは、効率の差による発電コストの低減である。これらを勘案すると、3のほうが安くできそうだ。具体的な数値が出てくれば、その比較を行いたい。


それでも設備費用を抑えて電力料が高くならないようにするのにはどうすればよいか。3/7日経社説「持続可能で透明な再生エネ買い取りに」は「買い取り価格や期間を決める経済産業省の算定委員会が発足し、4月末までに価格などの案を示す」と伝えている。補助金は需要家の電力料に含まれ、電力料を押し上げる。ソロバンをはじけば、再生エネに補助金を出すのは愚の骨頂であり、特に太陽光発電パネルなどは外国メーカーのほうがコスト競争力があるので、国内需要家の購買力が海外に流出するということにもなろう。再生エネに補助金を出す余裕があるのなら、その金を東西に新鋭発電設備を設けるのに使うのが賢明だ。