2/27日経・総合2面「イタリア政局、長期混乱も」

2/27日経・総合2面「イタリア政局、長期混乱も」
同・国際1面「イタリア混迷 欧州に暗雲」「反緊縮、波及の恐れ」
同・社説「イタリア再生にねじれの壁」

まるでユーロ危機が再燃するかのような報道である。確かに世界の金融市場の動きを見るとそう思ってしまう。反緊縮が市場の安定を損なうと思われているのである。


ところが緊縮策こそが政治的不安定をもたらすと主張する識者がいる。
2/24NYT・クルーグマン教授のコラム Austerity, Italian Style である。

これまでも教授は一貫して欧州の緊縮策を非難してきた。同コラムでは日経では評判の良い Mario Monti 前首相でさえ、実質的には債権国から送り込まれた管財人である(essentially imposed on Italy by its creditors)とか事実上のドイツの植民地総督(the proconsul installed by Germany to enforce fiscal austerity)であるとこき下ろされている。

かといって教授は、中道右派ベルルスコーニ氏や五つ星運動・グリッロ氏を支持しているのでもない。
comical Silvio Berlusconiとかan actual comedian, Beppe Grilloなどと容赦ない。

それでも、言外には財政政策についてモンティ首相の緊縮策よりましだということが、ベルルスコーニ氏の政策を擁護するわけではないがという弁明(without trying to defend the politics of bunga bunga)に読み取れる。

イタリアの混迷が欧州全体に波及するのが最大のリスクであるが、その根源にあるのが政策エリートによるいまだに変わらぬ緊縮一辺倒の政策であると教授は主張する。緊縮策を変えない限り、イタリア選挙の結果は、危険な先鋭化の前触れであると警告する。