福島第一第一号機での海水注入を巡る混乱
5月21日(土) 東電、記者会見で第一号機での海水注入を官邸の意向を汲んで一時中止していたと発表。3月12日の出来事である。官邸にいた東電関係者は、武黒一郎フェロー(前副社長)。
5月22日(日)、細野補佐官は政府・東電統合対策室の見解として斑目氏の意見により中断したと前日発表したが、斑目氏の抗議により訂正した。
5月23日(月) 国会で谷垣総裁、菅首相を追及する。
5月26日(木) 東電、海水注入は中断せずと発表(下記、プレスリリース参照)
結局、一連の騒動で「東電本体」は首相の意向を汲んで現場への指示も出したが、現場は独自の判断(権限は現場に委ねられていたようであるが)で注水を継続した。ここで傷ついていないのは、「東電本体」であり、指示に従わなかった現場は「処分」されるという。その「処分」の内容により、東電の真意をうかがうことが出来るであろう。政府は、18:05に海水注入に関する指示を受けたが、最終のゴーサインは、日経によれば20:05に海江田経産相から出たことになっている。つまり、政府の意思決定に2時間もかかっていることが浮かび上がる。また、政府の情報掌握がお粗末過ぎることも明るみに出ている。それでも追いつめられた政府にとって、注水が継続していたということはありがたいことであった。これで、野党の追及は一切無くなってしまうのだから。
誰が得をし、誰が損をしているかという観点から読み解くことも出来るが、よこしまな邪推やげすのかんぐりは慎もう。
注水は停止されず、継続していたとして幕引きが行われたが、注水が継続していたデータが開示されるまでは本当か疑わしい。
東電プレス・リリース
福島第一原子力発電所1号機への海水注入に関する時系列について
当社は、本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力
発電所の事故に関し、事態の収束に全力を挙げて取り組むとともに、事実関係の
調査を進めております。
こうした中、3月12日に実施した1号機への海水注入に関する主要な時系列につ
いて、これまでに以下の内容が判明しましたので、お知らせいたします。
<3月12日の主要な時系列>
12:00頃 社長が海水注入の準備について確認・了解
14:50頃 社長が海水注入の実施について確認・了解
14:53頃 淡水の注入停止(これまでに8万リットル注入)
15:18頃 準備が整い次第、海水注入する予定である旨を原子力安全・保安院等
へ通報
15:36頃 水素爆発
18:05頃 国から海水注入に関する指示を受ける
19:04頃 海水注入を開始
19:06頃 海水注入を開始した旨を原子力安全・保安院へ連絡
19:25頃 当社の官邸派遣者からの状況判断として「官邸では海水注入について
首相の了解が得られていない」との連絡が本店本部、発電所にあり、
本店本部、発電所で協議の結果、いったん注入を停止することとした。
しかし、発電所長の判断で海水注入を継続。(注)
(注) 関係者ヒアリングの結果、19:25頃の海水注入の停止について、発電所長
の判断(事故の進展を防止するためには、原子炉への注水の継続が何より
も重要)により、実際には停止は行われず、注水が継続していたことが
判明しました。
以 上