サハリン2からのLNG輸入を中止すべきか、ロシアを利する可能性(サハリン1にも該当)

3/22日経「サハリン2 長引く難局」「撤退ならLNG輸入額3割増」「電気・ガス料金上昇要因に」

サハリン2は、ロシア国営企業ガスプロムが50%、シェルが27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資する。生産量10百万トン/年のうち6割が日本向けである。

 

日本政府はロシアへのエネルギー依存度を減らす方針を掲げており、当然サハリン2もその対象となる。

 

サハリン2の輸入単価は10ドル/単位熱量である、他方、アジアでのスポット価格は一時60ドル/単位熱量まで高騰した。

仮に日本がサハリン2の分を全量スポットで調達すると、単純に計算すると、1.8兆円が追加コストになる(ママ、正確には1.5兆円)。21年のLNG輸入総額は、4.3兆円、うちサハリン2は0.3兆円であった。0.3兆円が1.8兆円になり、これが消費者に転嫁される。

 

サハリン2の代替をスポットで調達することは、ロシアを制裁することにつながるのか。

ロシアがサハリン2の生産量をスポットに流すとその分供給増となって価格が下がる。ところが日本がスポット市場に参入すると、供給と需要は同量づつ増え、ネットでは需給は変わらない。すなわちロシアはスポット市場の高値を享受でき、ロシアの財政を潤す。アメリカが全世界にロシアのエネルギーを買うなと号令しても、需要がある限り抜け道を探すだろう。かくして、ロシアを制裁するはずの手段が、ロシアに塩を送る結果になる。

日本国民が高い電力料を負担して、ロシアの財政が潤うことになっては何のための制裁かということになる。

日本政府は国民の生活とロシア制裁の効果をよく衡量して判断すべきである。

 

3/12日経 EU、ロシア産エネルギーから依存脱却で合意 27年まで 

【ベルサイユ=竹内康雄】欧州連合EU)は10~11日に開いた首脳会議で、足元で多くを輸入するロシア産化石燃料から自立することで合意した。EUのフォンデアライエン欧州委員長は11日、首脳会議後の記者会見で2027年までの依存脱却を目指し、5月までに具体策を提案すると発表した。