原油安の影響 踊らされる人々

原油安の影響が各方面で表われつつある。

その筆頭は黒田日銀総裁に、追加緩和を決断させたことだ。リフレ派の親玉の黒田総裁に物価の先行きに不安を与えた、ということになっている。だが、リフレ派であれば物価の低下は一時的な振れで、他の消費需要が拡大することによって物価は安定した上昇基調にあると言えたはずだ。アメリカではそのような効果を期待する声が多い。

次に補正予算で、燃料代上昇のため補助金を決めたことだ。夏ごろから内々に支持勢力に約束していたのだろうが、あまりにもタイミングが悪い。支持層に金をばら撒くということだけが浮き彫りになってしまった。政府が納税者に謝罪することはなさそうだ。

三番目がトヨタ燃料電池車の特許公開だ。すごいことをやるなと思ったが、再考すれば、トヨタが仲間造りに苦労しているということである。ガソリン安で、ここ数年は燃料電池車は話題になることも少なくなるのではないか。下手すると、稼ぎ手のハイブリッド車にも影響が出てくるだろう。未来志向は必要だが、このチャンスをモノにしないと次の手は打てない。安いガソリン車で勝負する時であろう。1/12日経社説「注目したいトヨタの特許戦略」は、トヨタ賞賛一色だ。当てにならない希望的観測に頼るより、足元で原油安は経済にどんな影響をもたらしているかの分析記事でも載せた方が読者の役に立つと思う。

「日本は1日あたり365万バレルの石油を輸入している。50ドルの水準が今後1年続いた場合、100ドルを基準にすると、輸入代金は8兆円ほど減少することになる。」といわれる。補正予算原油安のおかげで効果があったように見えるのだろう。だが、原油安の影響を除いてカウントしないと、本当に効果があったのかわからない。失敗は天候のせい、成果は安倍政権のものではアンフェアーである。
日経の事実に基づく分析記事に期待したいところである。