フェイスブックとグーグルの決済事業への進出、日本の決済業者は太刀打ちできない

テック各社の金融への進出が急である。公にしているのは、グーグルとフェイスブック(FB)だが、アマゾンも追随するだろう。アマゾン・コインの登場だ。

アップルは既にゴールドマンと組んでクレジットカードを発行している。これの進化ヴァージョンが予想される。

 

テック各社が本格的に金融市場に進出すれば、誕生して間もない日本のキャッシュレス決済サービス会社だけでなく、ビザやマスターカードなど大手クレジットカード会社にとっても大きな脅威となる。

 

11/27日経Financial Times「金融深化進めるグーグル」「銀行と共存関係を築けるか」

米ウエストコースト・エディター リチャード・ウオーターズ

グーグルは18日、電子決済アプリ「グーグルペイ」を刷新し、スマホを使った銀行口座サービスの新しい利用方法を可能にする構想を発表した。これはテック各社と銀行の間に新たな歩み寄りの機運が高まっていることの兆候だ。

グーグルの基幹ソフト「アンドロイド」を搭載した端末は全世界に25億台あるが、グーグルペイが利用されているのはそのわずか4%という。

 

グーグルはグーグルペイを2段階に分けて刷新する。第1段階は18日に実施されたもので、利用者は自分の銀行口座やクレジットカードを一括して端末上で管理できる。

より画期的なのは第2段階だ。米国の利用者は来年からグーグルペイから直接、スマホ用銀行口座の開設や管理をできるようになる。

 

アップルはゴールドマン・サックスと提携してクレジットカード事業に乗り出した。

 

もしグーグルが利用者の金融情報や活動の全容のわかるデータを入手することができるなら、それは同社が手広く展開している広告事業に大変な価値をもたらすことになろう。

 

今のところテック各社は、金融機関と対立するより協力したほうがはるかに有利だと考えている。これを相互が利益を得られる長期的な関係に発展させていけるかどうかが、今後の重要な試金石となる。

 

11/29日経「リブラ“米ドル版”から」「デジタル通貨 現実路線に修正」「来年にも発行」

金融当局の反発が強く、FBは軌道修正を図った。4月公表のホワイト・ペーパーによれば、複数の単一の法定通貨を裏付けとするデジタル通貨を複数発行。そのうえでこれらを裏付けとする「合成リブラ」を発行する。リブラがキャッシュレス決済サービスの一つにとどまったとしても十分価値はある。決済は膨大なビッグデータを生むためだ。

FBはCBDCを受け入れつつ、決済プラットフォーマーとしての役割を担おうとしている。決済通貨を巡る競争はまだ始まったばかりだ。