事業規模というまやかし、読者は税がいくら使われるかを知りたい
安倍首相は第2次補正予算の規模について、事業規模で100兆円を超え、第1次と合わせると200兆円越えだと吹聴している。
だが安倍首相が語らないのは、税金投入額に相当する真水の額である。
なるべく見栄えのするように見せたいというのは、安倍首相のいつものやり方である。真実を伝えようとする姿勢は見られない。
日経5/27は、第1次の25兆円を超えると伝えるだけで、どれだけの額なのかを明らかにしない。まだ案が決まらない(5/27に閣議決定の予定)段階であるので、はっきりした数字は出せないという事情があるかもしれない。
だが日経は、消費増税賛成、政府債務膨張への懸念を表明してきた。財政赤字に辛口であるはずなのに、今回の税が使われる額を明らかにせず、事業規模だけを伝えるのは、社是を放棄したのだろうか。
民主主義社会の新聞の大きな使命は、税がどれだけ使われているかを正しく伝えることである。
それなのに、あやふやな数字だけが独り歩きしている。
5/28日経は、閣議決定された第2次補正について、歳出31.9兆円、真水33.2兆円と伝える。ところが、各項目ごとの歳出規模が示されていない。こんなことは過去になかった。一人当たりいくら支援とか、一社当たり家賃の支援額とかが紙面を埋める。断片的に記事の中の数字を拾うと、予備費10.0兆円、家賃支援給付金2.0兆円、医療体制強化2.9兆円(うちワクチン体制整備1.4千億円、ワクチン開発0.5千億円)しかない。最大項目が予備費で、残り17.0兆円は不明である。引用している民間エコノミストの述べる企業・民間支援15.3兆円はどこにも結び付かない。
日経は、官邸の指導に忠実に従っているのだろうか。危ういかな。
5/27大機小機「200兆円 事業規模と真水の怪」玄楽は、事業規模と真水の関係を論じている。
このコラムは、真水ですら数字の操作で誤った情報を伝えると注意を促す。