カルロス・ゴーン(CG)の逮捕

池に落ちた犬はたたけ、のような報道フィーバーである。

CGの疑惑は、
① CGの報酬を有価証券報告書に50億円少なく記載した。うち、40億円はSARであった。
② 投資小会社の投資資金を住宅の購入に流用した。リオデジャネイロレバノンの住宅。
③ 会社経費の私的流用。家族旅行の費用の負担。

②と③は、見方により見解が異なり、グレーな範囲である。明白なのは、①の過少申告である。SARの支払いは、源泉徴収されているので、脱税にはならないだろう。

CGが入国直後に逮捕されたのは手荒に見えるが、自家用ジェットで来日したので、国外逃亡の恐れがあるとされたのであろう。

報道によれば、半年前にCGの不正が内部通報で知らされた。9月にCGから日本側経営陣にルノーとの経営統合が伝えられた。これを契機に日本側経営陣はCGを追放して、統合案を頓挫させようとしたのではないか。

西川(さいかわ)広人社長は、日産少数株主の利益を考慮したようには見えない。日産の「のれん」を守るために立ち上がったように見える。CGは、親会社ルノールノーの大株主仏政府の意向を実現しようとした。

ルノーは親会社として日産にどのような処分を下すのか。子会社の謀叛を黙認するのでは、企業統治が働いているとは言えない。西川社長は、アライアンスをこわすことまで考えているのだろうか。そうでなければ、策士とは言えない。

ロイター 2018年11月21日 / 05:42 / 33分前更新
https://jp.reuters.com/article/wrapup-fr-gov-renault-idJPKCN1NP2FM

ルノー、ボロレCOO暫定トップに ゴーンCEO解任見送り
[パリ/東京 20日 ロイター] - 仏自動車大手ルノー(RENA.PA)取締役会は20日、東京地検特捜部がカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)兼会長を逮捕したことを受け、ティエリー・ボロレ最高執行責任者(COO)を暫定トップに指名した。

同社ナンバー2のボロレ氏は副CEOに就任する。また、会長代行にフィリップ・ラガイエット社外取締役を任命した。

ゴーンCEOの解任は見送った。疑惑のさらなる詳細が判明するまで決定を先送りする一方、恒久的な後継者探しを加速させるための時間的猶予を確保した。



ルノーは声明で「ゴーン氏は一時的に任務遂行が不可能となったが、会長兼CEOにとどまる」とした。「この間、取締役会を定期的に開催する」方針を示した。

東京地検特捜部は19日、日産自動車(7201.T)会長も務めるゴーン容疑者と、同社代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の2人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。

ルノー筆頭株主であるフランス政府は同社取締役会の開催に先立ち、暫定トップを任命するよう求めた。


ルメール財務相はラジオ「France Info」に対し、「カルロス・ゴーン氏はもはやルノーを率いることができる立場にない」と指摘。「ルノーは弱体化した。このため、迅速に行動する必要がある」と強調した。

また、この問題を巡り麻生太郎財務相と連絡を取るとしたほか、ルノーと日産のパートナーシップはフランスと日本および両社の利益にかなっているとも述べた。仏政府はルノー株式の15%を保有している。

さらに、ルメール財務相世耕弘成経済産業相と電話で会談し、「日仏両政府は両国の産業協力の偉大な象徴の1つであるルノー・日産連合を力強く支援することを再確認した」との共同声明を発表した。

一方、日産に親会社であるルノーとの関係縮小を求める動きも見られる。関係者3人によると、日産は19日、ルノー取締役会に対し、日産・ルノー連合を統括するルノー日産BV(オランダ)内で不正が行われたことを示す証拠があると伝えた。


ルノーは20日、ゴーン容疑者逮捕を受けて初の公式見解を発表し、日産および三菱自動車(7211.T)とのパートナーシップを引き続き重視する方針を明らかにした。

日産はルノーの1.6倍近い販売規模を誇るものの、資本関係では日産のルノーへの出資比率の方が小さく、従属的な立場にあるため、企業連合については2社間で意識のずれが生じていた。

ルノー取締役会は声明で、連合結成の趣意書に盛り込まれた「透明性、信用、相互尊重の原則」に基づき、日産に対し「社内調査で入手した全ての情報」を提供するよう求めた。

ルノー株はこの日、1.19%安で取引を終了。前日は8%を超えて下落していた。一方、日産は5.5%、三菱自は6.9%それぞれ下げた。