携帯料金「4割下げ余地」: 安倍首相の経済リテラシーは

8/22日経、官房長官「4割下げ余地」「大手に競争促す」
これだと3,700円ほどが2,500円ほどに値下がりすることになる。利用者にとっては結構なことだ。政府は、浮いた1,200円が他の支出に回ることを期待しているようだ。
そうは上手くいくか。

値下に対する経済学の初歩的な教えは、価格の弾力性である。スマホがここまで普及すると、生活必需品となっている。需要の価格弾力性が非弾力的である可能性は高い。大手3社は、売り上げ減のダメージをまともに食らう。株式市場はこのことを素直に評価して、3社の株価は5%ほど下げた。

政府は競争原理が働けば、英国並みの引き下げが可能と見ている。

政府の思惑は画餅にならないのか?
スマホ料金が減って、その分がスマホ以外に向かうのか。ユーザーがスマホの機能向上や追加的なサービスに向かえば、目論見は成り立たない。
・競争原理を最初に働かせるのは、もっともらしいけれど迂遠な方策に見える。大手キャリアや新規参入業者が料金引き下げに向かうと想定するのは、楽観的過ぎるように見える。大手キャリアが値下げすると、価格硬直的であってもある程度は需要は伸びる。設備は限られているので、新規参入業者へ割り振る分は少なくなり、競争が活発化しなくなる。

楽観的な見通しで、人気取り政策に向かっているように見える。政府主導の賃上げ要請と同じ轍を踏みそうだ。


需要の価格弾力性(ウイキ)
弾力性の絶対値が1を越えると弾力的、1を下回ると非弾力的と呼ぶ。
需要の価格弾力性が弾力的であれば、需要曲線の傾きは緩やかになる。この場合、値上げすると需要が急に小さくなる。
需要の価格弾力性が非弾力的であれば、需要曲線の傾きは急になる。この場合、値上げしても需要は大きく変化しない。