IT巨人Google、Amazon、Facebook、Apple(GAFA)の破壊力

株式時価総額の上位を占めるIT業界の巨人の影響について5/17日経はFTラナ・フォルーハー(Rana Foroohar)のコラムを掲載している。

ITの巨人が経済の主要プレーヤーになっている時代には投資も賃上げも冴えないのは、当然の帰結だ。例えばトヨタがアップルと同じ利益を計上するためには、今の2倍以上の工場を建てて人を雇い、製品や仕掛品の在庫を抱えなければいけない。この世界では投資と賃金が上昇するのは自然なことだ。デジタル時代のIT企業は限界費用がほぼゼロで需要増加に対応できる。ここでは投資も賃上げも必要なくなる。彼らはキャッシュを溜め込むだけになっていく。

Rana Forooharは時価総額が1兆ドル寸前のアップルを引き合いに出して、経済の五つの重要な傾向を指摘する。次の経済危機は金融界からではなく産業界から起きるだろうと予告する。

1. 金融手法に関係する。巨額の現金とそれに見合う負債である。これは巨額の自社株買いと配当を行なうためで、恩恵を受けたのは上位10%である。格差の拡大につながった。
2. 知財やブランドなどの無形資産の割合が有形資産よりも多くなった。これは経済全般の投資を縮小させる傾向がある。また、勝者総取りの効果がある。
3. アマゾンやアップルの寡占が進むことが記録的なM&Aにつながっている。これらは大企業が大手IT企業に対抗するためのものである。その資金の一部は高利回り債で賄われている。
4. このことは次の危機は金融機関からではなく産業界から起こるであろうと思わせる。予想以上に金利が早く上昇すれば、多くの企業は危機に直面するだろう。
5. 次の危機が起きた場合、IT企業がもたらすデフレ圧力のために危機への対応は難しくなるだろう。