3%賃上げの壁

新聞を読んでいても3%の賃上げは今年だけが勝負のようにしか見えない。だが賃上げはデフレ脱却へのプロセスだから、3年とか5年とかのスパンで行なうものだ。
実際政府の賃上げ企業の法人減税は3年の期間適用される。

3年とか5年やってみて、それでデフレ脱却に効果があれば政府の正しさが証明される。2年で効果を出すといっていた金融緩和は5年たった今でも効果が出ない。

経済政策の多くは、仮説から出発するのでどこかで区切りをつけることが必要だ。そうでなければ、インパール作戦のように多大な損害を出して効果がゼロということもある。

3%賃上げで壁になるのは、企業に払えるだけの余裕があるかである。労働分配率は74%という(1/24日経)。付加価値の近似値=営業利益+人件費として、労働分配率を一定とすると、付加価値として1の営業利益に3の人件費を稼がなければならない。
      付加価値 営業利益 人件費
3年 1.09273 4.37092  1.09273 3.27819
5年 1.15927 4.63708  1.15927 3.47781

3年間の賃上げを確保するには付加価値を9%アップ、5年では15%だ。日経景気討論会での出席者の18年度の成長見通しは、1.1%から1.3%である。3%の付加価値を継続的に生み出すにはハードルは高そうだ。

内部留保を賃上げに使えという議論は筋が悪い。貯金を取り崩すようなもので持続性がない。王道はフローで賃上げの原資を稼ぐことである。

1/26日経夕刊 2017年のCPI 前年比
CPI 除く生鮮食品        0.5%アップ
CPI 除く生鮮食品、エネルギー  0.1%アップ
1/27日経夕刊
黒田総裁 ダボス会議で2%の物価目標に「ようやく近づいている」と発言。