消費が所得を上回る 高齢者世帯の増加が拍車

多くの高齢者世帯は年金と貯蓄の取り崩しで日々の生活費を賄う。彼らの家計管理は名目支出額を目安としているので、追加の支出には脆弱である。
消費税が引き上げられると、高齢化世帯では支出額の範囲で節約するので消費は落ち込む。この傾向は今後さらに顕著になる。

安部首相は19年の消費増税は実施すると明言したが、その場合には消費ショックに備えた対策を用意しておく必要がある。的外れな公共投資中心の補正予算ではなく、低所得世帯や高齢世帯の消費ショックにどう備えるかである。

(参考)
2013年度の国民経済統計によると、所得のうちどれだけ貯金に回したかを示す家計貯蓄率が初めてマイナスの-1.07%となった。国民全体で見ると、高齢者を中心に貯蓄を取り崩して所得を上回る消費をした事になる。貯蓄率がマイナスになるのは、ほぼ同じ条件で統計をした1955年度以降初めて。
13年度の家計は、会社からの給料や利子・配当などで、285兆5千億円の所得を得た
一方で、個人消費に289兆2千億円を使った。この結果、差し引きとなる家計貯蓄は
マイナス3兆7千億円となった。
家計貯蓄率はその後持ち直したとはいえ、14年度は0.17%、15年度は0.75%とごくわずかである。