東芝半導体子会社とJDI:経産省主導の企業再生には限界がある 

東芝半導体子会社の売却先がまだ決まらない。JDIが大幅な減損損失を計上する見込みとなった。
この二社は産業革新機構を通じて経産省が関与している案件である。

なぜこの二社はつまずいているのか。
その理由として、グローバルの競争環境をわかっていない経産省(その背後の官邸も)があると思われる。彼らが国内の事業を統合・再編する時には、経産省の威光を振りかざして思うように振舞うことが出来る。だがグローバルな競争界隈では、そんなことは通用しない。遺憾なことに彼らにはグローバル競争の猛者に対抗できるような経験を積んでいない。 

エレクトロニクス業界では(1)技術、(2)資金、(3)経営力が三位一体となって事業運営をやっていかないと勝ち残れない。
JDIの場合、(1)はともかく、(2)はtoo small too lateであったし、(3)はグローバル界隈で経営できる人材がいなかった。

JDIの挫折は大きな教訓を残す。一年前にはシャープを飲み込んで日の丸ディスプレーを作ろうと構想していたのが、いまや、シャープに再建を頼み込まなければならなくなっている。JDIでやっていることは縮小均衡だけで、机上の数字合わせでしかない。新市場を開拓するとか新技術を開発するという拡大の方向性が全くない。技術の本質が分かり、ダイナミックな経営を展開できる人材を欠いているからである。

いまのまま縮小均衡を続けていけば、そのうちにJDIは消滅してしまうだろう。未練たらしく抱きかかえるのではなく、売れる時にできるだけ高値で売るのが良策である。東芝半導体子会社も、熱意のある買い手に一任して突破口を開いてもらうしかないだろう。