皇位の男系継承

我が国では倭国の時代には、天皇と呼ばれたかは別として、卑弥呼や壹与などの女性の中心権力者がいた。日本国になっても、奈良時代だけでも元明、元正、称徳などの女性天皇がいた。

ところが安倍首相を初めとする右翼政治家は皇位の男系継承を強く主張する。
その背景を6/28日経「危うき皇位継承」が分かりやすく解説する。

明治憲法草案には「男は女に優先し」と女性にも皇位継承を認めていた。ところが法務官僚の井上毅(1844-1895、肥後出身、文部大臣、法制局長官などを歴任)が強く反対して、総理大臣・伊藤博文に「謹具意見」を提出し、「女性に参政権がないのに最高権力をもつ天皇が女性であることは矛盾」、「女性天皇の子は夫の姓を継ぐため、皇統が他に移る」などと女系容認を批判した。
井上が論拠としたのは、自由民権結社「おうめい社」が82年に主催した「女系を立てるの可否」という討論だった。女性天皇の賛否はほぼ同数だったが、「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」という懸念は一致していた。

安倍首相などの右翼政治家は、男尊女卑をベースにした男系の皇位継承を支持しているのである。表面的には女性の活躍とか言っているが、本心は他の事柄と同じく別のところにある。そして彼らの復古主義は、薩長支配の明治時代への回帰に過ぎない。