EU離脱 It's the economy, stupid

EU離脱の要因が色々言われている。その一つとして「移民」が指摘されている(6/25日経「英EU離脱」「グローバル化と成長に試練」)。

「移民」説はロンドンの現象を説明できていない。ロンドンの移民割合は39%(英国全体は12.3%)、残留支持は60%(ロンドンを除くイングランド全体の離脱支持は57%)。
「移民」説では、イスラム教徒のパキスタン系イギリス人市長のいるロンドンこそ離脱派が圧勝しそうであるが、実際には残留支持が上回っている。

ロンドンは最も開けた地域で、グローバル化の先進地帯だ。人々はその恩恵を受け豊かな暮らしを享受している。

6/25日経社説はIMFの試算を引用して離脱した場合に「2019年のGDPは残留した場合に比べ5.6%減少する」としている。だがこの引用は不正確である。この引用からは全英国民が影響を受ける印象を受ける。だが5.6%の減少は、殆どがEU加入で恩恵を受けていた地域、ロンドンが被ることになる。

ロンドン以外のイングランドグローバル化の恩恵が少なく、従って離脱によるダメージは少ない。むしろポンド安が進み、製造業や農業の輸出競争力が増して、プラスの効果が上回るだろう。
加入したままだとロンドンを脱出した人々に職を奪われるかもしれない。デメリットが多い。

ロンドンVSそれ以外のイングランドの対比を通じて、ロンドンからのトリクルダウンが機能していなかったことがよく分かる(ロンドンが独り占めしていた)。日本でも未だに好循環を唱える向きがあるが他山の石とすべきだ。

参考:
・移民の割合2013年
英国全体 12.3% (ロンドンを除くイングランド)離脱支持57% 
ロンドン 39%  残留支持 60%

・円ポンド
6/23引値157.6円
6/24引値139.4円(13%減)