ROE;起業家は株主の利益のために事業を起こすのか

株主に奉仕するために事業を起こそうとする奇特な人はいるのだろうか。

国がROE重視の経営を唱えるのは、起業家の夢、野望をまったく考えないロボットのような経営者を考えているからだろう。

起業家が事業を立ち上げようとするのは、自分の技術やビジネス・モデルを世に問いたいからだ。それが世の中に受け入れられれば大金持ちになるし、失敗すれば落伍者となってしまうかもしれない。中には金儲けにはトンと関心がなく、自分のやりたいことにのめり込む創業者もいる。そんな創業者にスポンサーになる太っ腹の人もいる。
アマゾンの社長、ジェフリー・プレストン・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos)は、利益を計上することよりも事業の規模、範囲を拡大することに熱中する。ROEなんて屁とも思っていない。それでもアマゾンは、時価総額42位の1,568億ドルの優良企業だ(トヨタは29位で1,953億ドル)。
スティーブ・ジョブズ本田宗一郎ROEを考えていたという話は聞いた事がない。

国がROEという単一の企業評価指数を広めようとする意図は正直よく分からない。
少なくとも、国内の個人投資家は、アベノミクスの提供する話題で相場が盛り上がった時を絶好の売り場と捉えて2014年間で株を売り越している。個人投資家に言わせれば、踊らされているのは海外投資家ということになる。この勝負、どちらが勝つかは15年に持ち越されようとしている。けだし見ものである。

ROEとは創業の理念から無縁となったサラリーマン経営者や功成り名を遂げた起業家の勲章のようなものではないだろうか。ダイナミックな経済成長とは縁のない静かな社会が予期される。