5/16日経 首相「憲法解釈の変更検討」、「集団的自衛権 容認に意欲」

外交や軍事の機微に触れるものであるから、喫緊の課題として集団的自衛権が必要かどうかは外野からはなんともいえない。

でも、首相の政治手法については大きな疑問がある。
1. 今の国会は最高裁の判決で違憲状態にある。違憲状態の国会から生まれた内閣も違憲状態である。違憲状態の内閣による合憲内閣による憲法解釈の変更には正統性はあるのか。
2. 180度の方針変更である。やはりこれは改憲という手続きが必要なのではないか。

原理原則を大事にするなら、選挙制度を直して選挙をやり直し、国会を合憲状態に戻すのが先決である。その上で、憲法解釈を変えるか、改憲が必要かを判断するのが全うな手順である。

この一年半の政治運営で安倍首相は原理原則に無頓着であることがはっきりしてきた。無理が通れば道理がひっこむである。
もう一つは、首相の発言に信頼が失われつつあること。先の国会は、成長戦略実現国会のうたい文句だったが、実際は、特定秘密保護法国会だった。今国会は、好循環実現国会であったが、結局、集団自衛権国会になった。首相は、大いに政治資本を減じている。

恐ろしい展開は、ある日突然集団自衛権の行使が発表される。ところが、特定秘密保護法の下、必要な情報は国民に開示されない。これでは、首相の思うままに戦争ができることになる。
原理原則をないがしろにする指導者は、孫子がいさめるように、「君主、将軍は、一時の怒りにまかせて戦争を始めてはいけない」「聡明な君主、優れた将軍は、軽率に戦争を始めない」ことから外れそうな危うさがある。

昨日の記者会見での説明用のボードは疎いね。あれでは、政府が無能であることがあらわである。とても安倍政権には戦争遂行能力があるとはいえない。