投資減税にこだわる安倍首相は的を外している

投資減税にこだわる安倍首相(下記の読売新聞の記事を参照)
デフレを最大の病根と認識している安倍首相が投資減税にこだわるのは的外れ。

デフレは供給>需要の需給ギャップがあることから生じていることは安部首相も良く承知されている。つまり、供給は余っている、と。


そんなときに設備投資をする経営者がいたら、その会社はすぐに過剰設備で倒産してしまう。そもそも銀行はそんな会社に資金を貸し付けないだろう。需要があると思っても誤ってしまうのが現実の経営であった(シャープやパナソニックの例)。

需要を増やす政策が正面に来なければならない。そうすれば増えた需要を追っかけて投資が出てくる。簡単な話だ。ところがどうすれば需要を増やすのかが分からないから的外れな投資減税という話になっている(仕事をやったというアリバイ作りになるし政治的アピールとしても分かりやすいと錯覚している)。

でもそんな小手先の戦略もどきを作って的を外していけば政権の経済政策は本来のアベノミクスからだんだん離れていく。大目標のデフレ脱却から遠ざかる。

ではどうすれば需要を生み出せるのか。リフレ論者はインフレ期待が高まれば民間の資金がモノへ流れるというが、それは未知の領域である。インフレ期待だけに頼るのは弱い。直接的に需要を見出す努力も必要である。採算性があって将来の生産性向上に寄与するがボトルネックがあって実行されていない案件を掘り起こして日銀で眠っている資金と民間の力を使って顕在化できればアベノミクスは大成功と賞賛されよう。


これはとてつもなく困難な課題であるが、本筋に的を絞った政策をやり抜いていくことが本来のあり方だ。
政権は成長戦略神話という幻想をかざすのではもう止めたほうが良い。


(2013年6月9日22時41分 読売新聞)
投資減税が柱の新成長戦略、今秋策定…首相方針
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130609-OYT1T00570.htm?from=ylist
 安倍首相は9日のNHK番組で、参院選後の今秋に、企業の生産設備更新を促す投資減税を柱とする新たな成長戦略を策定する方針を示した。

 今秋の臨時国会を「成長戦略実行国会」と位置づけ、成長戦略を支える法律の要となる「産業競争力強化法案(仮称)」を提出する考えだ。
 安倍内閣は14日に規制改革などが中心の成長戦略を閣議決定することにしており、今秋予定の新たな成長戦略はこれに続くものだ。首相は「秋には(成長戦略の)第2弾に取り組んでいく。その中で思い切った投資減税を決める」と述べ、引き続き切れ目なく成長戦略を打ち出していく姿勢を強調した。
 「産業競争力強化法案」は、事業再編で合弁会社を設立した場合の税制優遇などを盛り込む見通しだ。民間活力を重視する首相の経済政策「アベノミクス」を実行に移していく狙いがある。
 また、来年4月からの消費税率8%への引き上げについて、首相は「経済成長の足かせになってはならない。税収が必ずしも伸びていかないなら、今秋に経済指標を検討をしながら、適切な判断をしたい」と述べた。