不思議なコメ価格

今年は豊作なので安くなると期待していたら、新米が出始めたころから高く最近では一段と高くなっている。そのうち在庫放出で安くなると思っていたのだが、戸別所得補償政策で高止まりしているようなのだ。下記に引用した山下氏の記事を参照されたい。
財政と消費者の負担によって高い米を買わされている。制度上の欠陥であることは明らかである。しかも、この制度は比較的所得の高い兼業農家にも適用されている。
都市部の住民は、税金と高いコメ価格の二重取られ。
これが民主党の目玉政策だった。
農民票が欲しかったのだね。

キャノングローバル戦略研究所
供給増加(豊作)なのに価格が上がる不思議なコメの経済学 
研究主幹・山下一仁氏
http://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20121116_1653.html
現在のコメ農政の基本は戸別所得補償政策である。これは、農家への保証価格1万4千円と、市場価格(米価)から農協の手数料を差し引いた農家手取り価格(想定しているのは1万2千円)との差を、財政により農家に支払おうとするものである。
 1万4千円と1万2千円の差の2千円に単位面積当たりの収量を乗じた10アールあたり1万5千円は、米価のいかんにかかわらず交付される。例えば、農家手取り価格が2万円になっても、これは交付される。したがって、農家にとれば、米価が上がれば上がるほど得をする仕組みである。これに2,000億円の予算が用意されている。
 1万2千円より米価が下がれば、どうなるのか。それより下がった分も農家に交付される。これに1,400億円の予算が用意されている。つまり、いずれかの時点で米価が低落しても、農協は農家に支払った仮渡し金の一部を取り戻せばよい。
 それは、戸別所得補償政策によって農家に支払われることになるから、負担するのは、納税者、財政で、農家も農協も懐は痛まない。戸別所得補償政策が導入されたのは22年産米からである。戸別所得補償政策がなかった21年産米では、仮渡し金の取り戻しは農家の不興を買ったが、今では問題がない。
 つまり、農協は、戸別所得補償政策を前提として、高い仮渡し金による集荷力の強化を行っているのだろう。米価上昇に隠されたカラクリは戸別所得補償政策なのである。