ソニー復活の条件

ソニーのエレキ事業は再生できるのか。今ならまだまにあう。ただ、ソニー単独では難しい。ソニーの強みが残っている間に、ソニーの弱点を補完する相手との協力が必要である。

14年3月期セグメント別売り上げ、営業利益。単位:億円

大分類 小分類 売上高 営業利益
エレキ 携帯、スマホ 16,300 -750
- ゲーム 9,792 -80
- カメラ、ビデオ 7,412 263
- テレビ、オーディオ 11.685 -254
- 部品 7,941 -129
- 53,130 -696
エンタメ 映画 8,295 516
- 音楽 5,032 502
- 13,327 1,018
金融 - 9,938 1,702
連結 - 77,672 264

(注)連結の営業利益が合計から大きく減少しているのは、セグメント間消去-917があるからである。

ソニー衰退の理由は、(1)ヒット商品がなかった、(2)家電製品のコモディティ化に巻き込まれた。


当面の出血を食い止め、次のヒット商品が生まれるまでの時間を稼ぐには、ソニー自身がコモディティ化を主導するような立場に立って価格競争に打ち勝つしかない。固定費削減でリストラを繰り返すのは、行き着く先消滅でしかない。

当然ソニーにはコモディティ化を進める能力や資源はない。他社とのアライアンスが必要である。相手としては、国内、アメリカ、韓国、中国、台湾などが考えられる。このうち互いの力を補完できる相手としては、台湾企業が最適であろう。
台湾企業は、ODM(Original Design Manufacturing、委託者のブランドで製品を設計・生産すること)業者から抜け出て自社ブランドを立ち上げようとしている。ここにソニーブランドを売り込む機会がある。幸い、ホンハイとの提携をシャープは断った。ソニーとホンハイは強力なアライアンスを組めるのではないだろうか。ソニーのブランド力、技術力はまだ腐っても鯛である、他方、ホンハイのODM業者としてのコスト競争力は抜群である。台湾メーカーと組むのはブランド力低下させるとか技術流出になるというのは小さな懸念である。中国のスマホメーカー、シャオミはホンハイに製造を委託している。つまり、ソニー・ホンハイ連合は、シャオミの急所を押さえることになる。このアライアンスに世界的なスケールのマーケティング力を組み合わせると強力なメーカーが誕生するのではないだろうか。当然ソニーは、これまでの行きがかりを全て捨て去り、新ソニーとして生まれ変わる覚悟をしなければならない。


10/7日経経済教室「家電、低価格帯でも勝負を」長内厚・早稲田大学准教授は、ソニー復活の条件を論じている。
新興市場で分業強化」「国内高級戦略と使い分け」
ポイント:
ソニー苦境はグローバル競争継続の証し
・中国勢は低価格の徹底で残存者利益狙う
・日本は公正な競争へ中国に国際的圧力を