10/18日経 14年度見通し「物価上昇0%台後半」

10/18日経 14年度見通し「物価上昇0%台後半」「1%目標届かず」「日銀、追加緩和検討へ」

日本銀行は30日に示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、2014年度の消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率の見通しを前年度比0%台後半とする方向で検討に入った。中国など海外経済の減速が長引いていることから、見通しを下方修正する。日銀が実質的な物価目標に掲げる「1%」が見通せないため、30日に開く金融政策決定会合で追加金融緩和を協議する。

日経経済面では、「景気シナリオ再点検」「政府、緩和圧力一段と」という見出しがある。「中国の景気回復の遅れを主因に、景気・物価見通しが想定より下振れしていると判断したためだ」。


日銀の判断は実質成長率が低迷するという想定のもとで物価上昇も引きずられて鈍化するということで、金融緩和が不十分で物価上昇が低迷するものではない。これは経済学の初歩で習う、景気が上昇すれば物価が上がる、景気が低迷すれば物価は下がる、ということだ。だから物価見通しの下方修正に対する処方せんは、追加の金融緩和ではなく、景気を支えることが本筋である。それ故、野田首相は17日の臨時閣議で「景気下押しリスクに対応し、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取り組みを加速していくことが喫緊の課題だ」として11月中に緊急経済対策を取りまとめるよう関係閣僚に指示した。これは、日銀の見通しと整合的で、筋の通ったあり方である。


日銀の下方修正に対する前原氏や安倍氏の強力な金融緩和や大胆な金融緩和というコメントは、的が外れている。10/18日経社説「政府・与党が圧力をかけすぎるのはよくないが、日銀が必要な対応を怠るのでも困る。景気の悪化が鮮明になる場合は、一段の金融緩和をためらうべきではない」というのは、経済紙とは思えぬ情緒的な論だ。

参考:
経済・物価情勢の展望(2012 年4月)4/27発表より抜粋。
(注5)政策委員全員の見通しの幅は下表の通りである。
――対前年度比、%。

- 実質GDP 国内企業物価指数 消費者物価指数(除く生鮮食品)
2011 年度 −0.2〜−0.1 +1.7 0.0 0.0
2012 年度 +2.1〜+2.4 +0.3〜+0.8 +0.1〜+0.4
2013 年度 +1.5〜+1.8 +0.6〜+1.0 +0.4〜+0.8