「近いうちに」のドタバタ

「近いうちに」のドタバタ

8/8夜:野田首相、二つ確認した。3党合意を踏まえて一体改革関連法案は早期に成立を期す。一体改革関連法案が成立した暁には、近いうちに国民に信を問う。これからそれぞれの取り組みをしていく。

各紙は大勝利したかのように、野田首相の「業績」を称えている。東京新聞のみ、8/11社説「消費増税法案が成立 “代議”が機能せぬ危機」としてこの間の政治プロセスの「劣化」に警鐘を鳴らす。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012081102000123.html

大手紙は政府、財界の広報紙の様になって、精神論、根性論で論じたて、そうでなければ「近いうち」はいつかなどかという興味本位の見方しか提供しない。

増税の先の思惑を見ると、報道されている財政再建はお題目で、野田首相の言う「増収分は全て社会保障として国民に還元される」は、字面通りには信用できない。というのも、社会保障の分だけ予算が浮くのであるが、その浮いた分については何も語っていないからである。財政危機を唱えていたのだから国債発行の削減に向かうと思いたいがそうではなさそうだ。
たとえば、8/11日経「消費増税 再生への一里塚」「次の焦点は成長力強化」では、「ドイツ経済への信頼は揺らいでいない。2000年代に労働市場改革や法人税減税を進め、成長力を高めたことが大きい」と次なる目標が「法人税減税」であることをにじませている。社説はもっと露骨に、「約35%の法人実効税率を主要国並の25-30%に引き下げる議論も始めてほしい」と説いている。与党は3兆円ほどの「新幹線」整備だ。更に、年金の充実策として増収分13.5兆円のうち1%2.7兆円を充てるという。国土強靭化基本法による200兆円の支出もある。庶民の納めた血税が食い潰されない様にメディアにはしっかりと監視してほしいが、「消費増税しかない」という熱い空気の中では難しいだろう。