安全と安心
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日経3/20 「エネ計画、発電方式の割合協議」「意見ばらばら、集約は先送り」
総合資源エネルギー調査会の主な委員が示した2030年における電源構成案
委員名 | 再生可能エネルギー(%) | 原子力(%) | 火力(%) | 合計(%) | |||||
阿南久、全国消費者団体連絡会 | 50‐60 | 0 | 20‐35 | 70-95 | |||||
高橋洋、富士通総研 | 44 | 0 | 48 | 92 | |||||
河野龍太郎、BNPパリバ証券 | 23‐30 | 0‐10 | 41‐56 | 64‐86 | |||||
柏木孝夫、東工大 | 23 | 18 | 46 | 87 | |||||
山地憲治、地球環境産業技術研究機構 | 23 | 18‐35 | 30‐47 | 71‐105 | |||||
参考:2005実績 | 9 | 31 | 61 | 101 | |||||
参考:2009実績 | 9 | 29 | 61 | 99 |
再生可能エネルギーは水力を含む。
参考とした実績は、電力事業連合会発表のもので、末尾に掲げる。
各委員の見通しの根拠は明らかではないし、合計が100%に達しない例が多く、集計に漏れがあるようだ。傾向として、一人の委員を除き原子力を減らし、全員が火力を大幅に減らしている。それを埋めるのは再生可能エネルギーである。火力を減らすのは、温暖化ガスを意識してのものだろうか。
記事にあるように、「意見ばらばら、集約は先送り」なのは判断基準が示されず各委員がそれぞれの主観で意見表明をしているのではないか。
今後のエネルギー政策で最も重要なのは、原子力をどうするかである。原子力のリスクが社会的に受け入れられるのか、そのリスクをどのように制御出来るのかという点である。社会的に受け入れられるにしてもそれが民間で負担しきれるリスクか、民間が出来なければ国が引き受けるリスクかを見極めるのも重要なポイントである。それ以外のエネルギー源は、いちいち委員を呼んで決めてもらうのではなく市場で優劣を決めればよい。再生可能エネルギーは、政策的配慮はあるにしても国民負担は重く今の時点では決め打ち的に国民の購買力を過大に注ぎ込むものではない。
国が決めるべきものは、原子力のリスクを科学的に判定し、事故の確率を評価することである。具体的には、福島第一のような事故が再発したらこの国は保てるのか、現在の最新鋭の技術を用いれば再発は防止できるのか、今後100年で事故の起きる確率はどれだけかなどである。原子力を使わないときのリスク(例えば、中東の原油が絶たれる)も同様に評価されなければならない。それらを総合して、国が原子力の比率はX%と決定することである。今の委員会で決めるやり方は、政府の責任回避、国の基本となる道筋に対する責任を回避しているといわざるを得ない。スリーマイルは1979年、チェルノブイリは1986年とここ40年で3件の事故が起きた。絶対的に安全と判定するのはかなり困難なように見える。科学的な判定が問題無しとしても、安心を求める住民には合理的な範囲で、例えば移転費用の補助を出すような方策を考えていけばよいのではないか。
電気事業連合会発表:「電源別発電量の実績および見通し」から抜粋
年 | 発電電力(億KWH) | 原子力 (比率%) | 石油等 (比率%) | 石炭 (比率%) | 天然ガス (比率%) | 水力 (比率%) | 地熱 (比率%) | ||||||||
2005 | 9,889 | 31 | 11 | 26 | 24 | 8 | 1 | ||||||||
2009 | 9,565 | 29 | 7 | 25 | 29 | 8 | 1 |
石油等には、その他ガスなどを含む。
%は、四捨五入のため合計が100にならないことがある。