東電への資本注入 経産相「資金注入、りそな方式で」

2/15(水)日経 経産相「資金注入、りそな方式で」、「普通株で経営権」「資金回収、道筋読めず」

東京電力への公的資金の注入について枝野幸男経済産業相は14日「りそな銀行のケースが基本的な考え方になる」と述べた。国が7割の議決権を握ったりそな銀と同様に、経産相は東電の2/3以上の議決権を取るとの姿勢だ。国に加え、経営、株主の責任も明確にするとしているが、実現には課題も多そうだ。

経産相は根本的なところで誤解しているのではないか。

1. りそなは不良資産を厳格に査定した上で、不足する資本を注入し た。東電の場合、賠償債務や廃炉処理費用をあいまいにしたままで資本注入しょうとしている。最終損失額を確定させて、それに基づき資本注入するのが不良債権処理で学んだ教訓ではなかったか。このままでは展望なき資本注入の泥沼へ引き込まれることになる。

2. りそなの場合、競争的市場の中でシェアを増やし企業価値を高める展望があり、これによって注入した資本を回収する目処があった。他方、東電は独占市場の企業で、これ以上市場占有率を高めることはできず、むしろ、提案されている施策を実施することにより企業価値が減少するのは確実である。注入する資本が回収される見込みは乏しい。成功しそうに見えたりそなの場合でも、3.2兆円の注入に対しまだ0.8兆円が未回収である。

3. 回収の見込みが立たない東電への資本注入は既存株主(上場は維持される)への贈与となる。「株主の責任も明確にする」との言葉とは正反対のばら撒きである。昨日の時価総額0.32兆円をベースにすると、0.24兆円が既存株主に流れる〔0.32/(1+0.32)〕。