英国のEU離脱は、世界に明るいニュースとなるか 合意なき離脱であっても

日本では英国のEU離脱は、ともすれば経済・貿易面での影響に囚われすぎているようであった。

真の問題は、離脱後の英とEUがどんな関係になるか。それが世界の勢力図にどんな影響をもたらすかである。

 

8/7日経「英とEUの特別な関係」FTギデオン・ラックマンは、このことを肯定的に論じている。

 

長期的には、EUと英国の関係は米国とカナダの関係に落ち着く可能性がある。

カナダは米国の一部になるつもりはないし、英国もEUの一部になるつもりはない。カナダも英国も自国の政治的な独立を維持したいため、自国が米国やEUという近くの大国に比べ弱い立場にあることは仕方ないと受け止めている。どちらもバランスを欠いた関係ではあるが、共通の利益や価値観、地理的条件に基づく深い経済的統合や戦略的な協力を通じて、いずれにおいても双方が利益を享受できる。

 

ラックマンは、7/17-21の首脳会議で合意された7,500億ユーロ欧州共通債を指摘する。これはEUのより緊密な政治同盟への第一歩となる。その先には、共通債の裏付けとなる共通税の導入がある。

 

アメリカ次期大統領候補バイデンは、EUを危険なライバルと見る米国一強時代の考えを過去のものとし、同盟関係の再構築に乗り出すだろう。不安定化の要因がもはや、中国、ロシアであることは明確になった。

 

長期的には、英国は米国とすでに築いてきた「特別な関係」をEUと築くことを目指すべきだ。米国とEUという2つのパートナーシップを強化できれば、英国は再生を果たした西側同盟の中心に返り咲くことができる。

 

翻って日本の立場を鑑みると、地理的には西と中国の橋渡しをする役割を果たしうるが、そこまでの胆力はあるか。