トランプ保護主義の行方、アメリカ・ファーストにうろたえるな

貿易黒字を計上する中国や日本は、自由貿易を守れと主張する。多額の貿易赤字を計上するアメリカは、輸入制限を行なおうとする。利害が分かれる国同士で意見が異なるのは、夫々の主張はご都合主義であることを示す。

日中の主張は自国(輸出業者)の利益を擁護するものであって、経済学上の真理を追究する立場には見えない。欲の皮を突っ張らせていると、いつかはしっぺ返しを食らいそうだ。
米はこれ以上貿易赤字を出し続けることは持続可能ではないと悲鳴を上げている。米の貿易赤字は、需要超過であるから需要を冷ます事が必要である。その意味で輸入品に追加関税を課すのは、正しい方向である。輸出国は対米輸出の減少を甘受することになる。ただ、大型減税や財政支出の拡大との組み合わせは混乱していると言うべきだ。

今と似たような状況がニクソン大統領の時にあった。当時米は貿易赤字で金の流出が止まらなかった。ニクソン・ショックといわれるドルと金の兌換停止が突然発表された。同じ頃、米は日本を素通りして中国との国交回復に動いた。米は、同盟国の都合を気にせず、アメリカ・ファーストで動くことがニクソン時代の行動から知ることができる。

ニクソン時代のアメリカ・ファーストが再現されるとすると、米国債の支払い停止、北朝鮮との国交回復があり得ることが想像される。あり得ない事があり得るということを頭の片隅に置いておく事が必要だ。