日韓慰安婦問題に合意

日韓両政府は12月28日、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的解決」とすることで合意した。
「最終的かつ不可逆的解決」と共に「当時の軍の関与の下に」という日本政府の認識も示されている。
後者については、大手メディアのフォローは見かけない。

「関与」とは幅広い概念でどのようにも解釈できる言葉である。
河野談話では「慰安所は,当時の軍当局の要請により設営されたものであり,慰安所の設置,管理及び慰安婦の移送については,旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と述べている。
今回の政府見解は、安倍首相の次のような認識を踏まえてのものであろう。
訪米中の安倍晋三首相は(4月)27日、ハーバード大学ケネディ行政大学院で講演した。講演後の質疑応答で、旧日本軍の慰安婦問題について「人身売買の犠牲となって筆舌に尽くしがたい思いをした方々のことを思うと、今も私は胸が痛い。この思いは歴代の首相の思いと変わらない」と話した(4月28日朝日新聞)。
つまり、慰安婦問題は軍の消極的な関与であった問題であると。

もう一つの疑問は、なぜ「軍の関与」という言葉が入れられたかである。この点については一切報道がないのでわからない。おそらく、米・韓、特に米からの強い要請があったと想像するしかない。

参考:
慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題で、かかる観点から日本政府は責任を痛感している。安倍首相は日本国の首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する・・・」(12月29日日経)。