安倍政権は、消費再増税を目指すなら家計の実質所得を2%以上引き上げる、と約束できないのか

自民党は選挙公約「景気回復、この道しかない」で17年4月に消費再増税をすることを明記した。
こんな選挙公約もあるのかなと思ってしまう。これは党内外の増税推進派や財務省へ向けての決意表明で有権者に向けたものとは思えない。

家計は所得が増えてそこから幾らかを税に振り向けるのなら文句はないし、消費が落ち込むことはない。それを実現できるアベノミクスなら支持されよう。
過去にも所得倍増という数値目標を掲げて見事実現したという例があった。

どの程度の所得増を実現できればアベノミクスには合格点が与えられるのか。
17年4月までに3年の期間として、インフレは1年目が3%、2年目と3年目が日銀のインフレ目標2%が実現すると仮定すると4%である。
現在の購買力が維持される名目賃金は1.03×1.04×1.04=1.114に増えていることが必要だ。これに再増税の税率2%のアップを加えると、1.13628が現在の購買力を減らさない最低の収入増になる。

一世帯当たり名目年間所得を400万円とすると、17年4月には、454万円(1.13628)をクリアしていればかろうじて消費再増税に耐えられる。アベノミクスはギリギリで合格になる。

これをそのままGDPにあてはめると、現在の名目GDP480兆円に対し、17年4月には545兆円となって65兆円の増加である。限界税率を10%と仮定すると、6.5兆円の税収増が期待できる。

これぐらいのことをアベノミクスはできるのなら、これまでのパフォーマンスと比べてそんなに悪くはない。もしできないのに2%の再増税を強行するなら退場してもらいたい。選挙公約からはどのような経路で家計の所得を増やすのかは見えてこない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社景気循環研究所は、名目GDP成長率を次のように見積もる。()内は、個人消費の増減(実質値)。
http://www.sc.mufg.jp/report/business_cycle/bc_forecast/pdf/bcf20141125.pdf
14年度 2.1%(−2.7%)
15年度 2.8%(1.9%)
16年度 2.8%(1.7%)
さて、このギャップはどのように埋められるのか。

11/26日経 自民公約の要旨
[経済再生・財政再建]
雇用や所得の増加を伴う経済好循環の拡大を目指す。デフレ脱却のチャンスを手放すわけにはいかない。消費税率10%への引き上げは2017年4月に行う。