経済産業省「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」「エネルギー・ミックスについて」

経済産業省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」「エネルギー・ミックスについて」
5/28時事ドットコムより

将来のエネルギー政策を議論する総合資源エネルギー調査会経済産業相の諮問機関)の基本問題委員会は28日、2030年に国内電力のうち原発の比率をどれくらいにするかについて、選択肢案をまとめた。原発依存度を順次引き下げる野田政権の方針に基づき、発電電力量に占める原発の比率を現在より高い35%とする案は選択肢からは除外し、参考扱いとした。関係閣僚で構成する「エネルギー・環境会議」に近く報告する。

各電源の2030年時点の比率。

選択肢 原子力(%) 再生可能エネルギー(%) 火力・自家発電(%) コージェネレーション(%) 原子力の位置づけ 電気料金(2人以上世帯の月額)
0 35 50 15 A 17,600~23,100
15 30 40 15 B 16,600~19,900
20~25 25~30 35 15 C 16,400~19,200
_ _ _ _ D _
参考 35 25 25 15 E 15,100~17,400
2010年度実績 26 11 60 3 _ 9,900

再生可能エネルギーのうち水力は10%ほど)
A 原発ゼロをできるだけ早期に実現
B 原発依存度は低減。30年以降の位置付けは、適切な時期に決定。
C 原発依存度を低減させるが、今後も一定比率を中長期的に維持。
D 最終需要家が市場で選択。数値なし。
E 現状程度の設備容量を維持。

5/30日経社説によれば、有識者25人からなる委員会は「25回も議論を重ね」たという。日経社説は、「国民が知りたいのは委員の主義や立場ではない」と評している。


本当に知りたいのは、原子力のリスクがどの程度あるのか、どのようにそれを制御できるかである。たとえば、福島第一のような事故が1000年でX%あり、ある技術を使えばどれだけのコストでそのリスクをどれだけ減らせるのかということ。同時に許容できるリスクの中で、代替エネルギーを用いた場合の経済計算。それらの結果として、複数の選択肢が出てくるべきものである。

選択肢2と選択肢3では原子力の比率が15%から20%になるが、選択肢3ではリスクを許容する度合いが33%増す。大きな数値に見えるけれど、もとになる原発事故の確率は限りなくゼロに近いはずであるから、ほとんど無視し得る違いにしかならない。
選択肢4は原子力は他のエネルギーと同等に安全であるという想定である。その根拠を知りたいものだ。需要者が100%原子力を望めば、それでも良いということなのかな。


本委員会の目的は次の様であった。

総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(第1回会合)
日時:平成23年10月3 日(月)18:32〜20:26
場所:経済産業省本館17階第1〜第3共用会議室
○枝野大臣
経済産業大臣の枝野でございます。このたびは基本問題委員会の委員をお引き受けいただき、また、本日ご多忙の中お集まりいただきましたことを、まずは冒頭御礼を申し上げます。
言うまでもなく、今回のこの基本問題委員会の設置のきっかけとなりましたのは、3月11 日の東京電力福島原子力発電所の事故でございます。これによって原子力の安全性に対する国民の信頼は大きく損なわれました。また、このことによるさまざまな影響の下、わが国のエネルギーシステムが抱える脆弱性も明らかになったところでございます。こうした状況の中で、昨年6 月に閣議決定しましたエネルギー基本計画については、ゼロベースで見直し、再構築を図る必要があるということで、本委員会を設置しまして、この委員会の意見を聞いた上で、私の下でエネルギー基本計画の案を作成するということにさせていただいたものでございます。

原子力の安全性がキーワードである。


5/29読売新聞は政府の対応を次のように報じている。すでに結論ありきのようである。

細野原発相は25日の閣議後記者会見で、15%案を「一つのベースになり得る」と述べており、政府は今後15%案を軸に検討を進めるとみられる。