緊縮策が大好きな日経

経済紙は日本経済の現状を冷静に分析し、それにどう対処するかを提言すべきと愚考するが、今日の日経一面の論説記事「不利益の分配も問う時だ」(論説委員長・芹沢洋一)は、購読料を払っている立場としては一方的な意見の押し付けで金を返せといいたくなる。

「経済を大きくするのが何より大事だ。成長戦略が促されるゆえんだ」しかしながら、「膨大な借金を抱えたままで、この国が先々までやっていけるわけがない」。故に「社会保障費の抑制はやむを得ない」のだそうだ。

足もとでアベノミクスがつまずいて再増税が先送りになったことが現時点での最大の問題点となった。その分析なくして「社会保障費の抑制はやむを得ない」は飛躍しすぎだ。再増税が先送りになったショックが大きすぎてそのダメージが抜け切っていないのか。

議論としてなぜ再増税が先送りになったかを明らかにし、再増税推進派としての処方せんとして「社会保障費の抑制はやむを得ない」と筋道をつけていれば良かった(おかしな議論だが)。

事実と意見を切り分けて読者に判断させるのが報道としてまともなあり方だと思うのだが、事実を示すと不都合があるのかもしれない。

日経の意見は半分は当たっていると思うけれど、その提言によって需要が落ち込むことをどう考えるかだ。みんなで貧しさを分かち合おうというのも一つの考え方だ。ただそれによって国の借金が返せなくなったらどうするのかな。