4/23日経経済教室「新体制・北朝鮮どう向き合う」

4/23日経経済教室「新体制・北朝鮮どう向き合う」「交流の実利得る韓国が鍵」「国際的に孤立は誤解」「制裁の利益、中韓に説明を」木村幹・神戸大学教授
ポイント:
• 中朝関係悪化でも北朝鮮に変化の兆しなし
• 韓国は強硬姿勢の裏で南北交流の果実回収
• 制裁後の東アジアの将来像明示が不可欠

この寄稿は考えさせられる。
我々が見ているのは今にも崩壊寸前の北朝鮮だが、それは見かけの事で強気の姿勢をとれるのは教授の分析によれば対外貿易が伸びているからである。
• 2002年以降わが国の北朝鮮との貿易額は急速に減少している。貿易面では、わが国は北朝鮮には殆んど影響を与えることが出来ない。
• 中国との貿易量が急増している。00年に20%強しかなかった中国の占有率は今日50%を超える。
北朝鮮の貿易全体は急速に伸びている。GNI比で23%強に達している。この数字はわが国の貿易依存度に匹敵するものであり、貿易面では北朝鮮が国際的に孤立しているとはいいがたい。
• 貿易額が増えているのは、韓国である。その占有率は30%以上に達している。近年南北関係は悪化の一途をたどっているように見えるが、韓国は南北交流の果実を回収してきた。
• それでは我々はどう対処すべきなのか。重要なのは、北朝鮮が軍事的脅威と経済的誘引力という、「太陽と北風」を巧みに使い分けていることだ。そのことは、我々もそれに応じた対策を考えねばならないことを意味する。


北と南は表では派手な殴り合いを演じているが、テーブルの下ではしっかり手を握りお互い利益を得ている。
中国もアメリカも韓国も本音では北の崩壊を、少なくとも近未来では望んではいない。
一人わが国だけが、生真面目に制裁などと声高に叫ぶのは、このあたりでもう一度見直す時に来ているのかもしれない。制裁の裏付けとなるパワーがないし、周辺国の思惑から取り残されているように見える。多面的な接近を考える時ではないか。

北朝鮮GDPは262億米ドル、人口24百万人(色々な数字があり、あまり確かではない)。一人当たりGDP1,000ドルほどである。このポテンシャルに目をつけ、経済交流を少しでも進めていく選択はないのか。今のところ韓国だけがその果実を得ている。トップ交代の今が恩を売るチャンスのように見えるが。