パナソニックの社長交代 津賀一宏社長から楠見雄基常務執行役員へ その先は

都賀社長は12年6月に就任した。この間赤字事業の整理に追われていた。大きな誤算は、次の成長事業としたテスラ向け電池事業であった。いよいよ生産が軌道に乗ってきたが、その果実を得られていない。

皮肉にも、テスラの株価は12年6月末日31.3ドルから、20年11月13日408.5ドルに上昇した。パナソニックの株価は、1,000円前後でさえない。普通なら、テスラ関連で大きく買われてもおかしくはない。

 

わが国では、事業の多角化と株価の最大化はほとんど同義とされてきた。

欧米の物言う株主は、日本の経営陣に多角化から脱して専業に会社の方向を改めよと提言する。

 

多角化は、ある事業が不振でも他の事業が補えることがある。企業存続のためには、賢明な選択である。だが株価最大化の点からは、逆のことが言える。ある事業が好調でも赤字事業が足を引っ張る。さらにコングロマリット・ディスカウントという嫌な現象がある。

専業化は、究極の選択と集中である。厳しく経営者の能力が問われる。パナソニックはこの困難な挑戦に向き合えるのか。