トランプ大統領就任演説:保護主義は素晴らしい繁栄と強さにつながる

有言実行のトランプ氏の発言を軽視してきた大手メディアは、今頃になって呪文のように自由主義経済を守れと唱える。必要なのは、唱えることではなくどう対応するかである。

トランプ氏の保護主義的経済運営には、いくつかの動機が考えられる。
① 中国との経済覇権を巡る闘争
② 中間選挙を控え、ラストベルトの支持者へのアピール
③ 米国の超過需要を冷え込ませるトランプ流のレトリック

トランプ氏の真意は分からないが、経済からの分析では③が一つの回答である。
7/12日経コラム「トランプ氏、貿易戦争を招く」で、FTコメンテーターのマーティン・ウルフは、「ほぼ完全雇用の状態の国で貿易赤字を縮小するには景気後退が効果的なことは、経済学者なら誰でも知っている」と述べている(注)。

トランプ氏の意向によって、次の展開が考えられる。
① 米対中国の対決で、トバッチリはあっても他国への波及は余りない。
② 支持率次第で、支持率が上がらない場合には対日、対独への強硬路線がありうる。
③ 中国が片付けば、矛先は日本やドイツに向かう。
①と②は政治的な意味があり、ここでは論評しない。

(注)7/10日経経済観測ケネス・ロゴフ、ハーバード大教授
「本当に対中赤字を消すには、大恐慌で米消費を激減させるしか、方法がない」。