アメリカの鉄鋼とアルミへの関税、その先には

この関税の行き先は貿易戦争につながると言われているが、貿易戦争の中身は具体的にどんなものか。
まず、中国が広範な対抗リストを掲げ、米中貿易戦争が起きそうな風向きだ(3/22NY市場、3/23東京市場は大揺れ)。

もう一方のEUは報復関税を持ち出すのか。
アメリカの関税はジャブのようなもので、EUが報復関税を課した時に、アメリカは力を込めたパンチを繰り出すという見方がある。

3/22日経FT 「欧州が種をまいた貿易戦争」「駆け引き 米国の圧勝か」ウォルフガング・ムンチャウはアメリカの作戦を解説している。

ユーロ圏は12年以来近視眼的な経済対策を展開してきて、経常収支は大幅な黒字(17年にGDP3.5%)を計上してきた。それは、近隣窮乏化政策である。重要なのは、トランプ氏が過去に何度も脅してきたように、輸入車に関税を課すかである。あるシンクタンクの試算によると35%の関税で欧州の自動車産業は170億ユーロの売上を失うという。

アメリカは鉄鋼とアルミで相手の出方を図り、EUの対抗措置を誘う。EUの対抗措置が出てくると、その報復措置として輸入車への課税で対抗する。

これはありそうなシナリオだ。自動車はラストベルトの中核産業であるから、トランプ氏のこれまでの行動では自動車産業を守り抜こうとする。

当然日本からの自動車輸出にも影響するだろう。安倍首相はどんな交渉を展開できるのか。日本だけは例外扱いにしてくれ、なんて無原則なことを言っていると足下を見透かされるだろう。