軽減税率と分配

軽減税率の適用について、具体例を取り上げあれやこれやと考えを巡らす。そんなことにエネルギーを費やすことによって、経済は強化出来るのであろうか。

安倍首相は施政方針演説で、「分配」を主張し(1/23日経「首相「分配」に目配り」)、格差是正へ前向きな姿勢を示す。施政方針演説で「分配」は2ヶ所、「再分配」は1ヵ所言及されている(下記引用記事)。

ところが、1/27日経経済教室「軽減税率を考える・下」東京大学教授・加藤淳子によれば、軽減税率は「所得分配の平等に逆行」「標準税率の高騰招く恐れ」と指摘し、「西欧諸国は軽減税率の回避を他国へ助言」「軽減税率は貧困層から富裕層への再配分」「増税先送りで歓心を買う政治は日本特有」と手厳しく批判する。教授は貧困層へ重点的に給付することを推奨する。
一例として、ニュージーランドは86年に10%を導入し、6年前に21年間12.5%のままで財政健全化をなしとげた。6年前に税率は15%に引き上げられた。

誤った政策を採用するのは、選挙目当てとはいえ、どうかしている。施政方針演説にも真っ向から反する。この国の税制はどういう方向へ向かうのか。

平成28年1月22日
第百九十回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement2/20160122siseihousin.html
(分配 2ヶ所)
強い経済、「成長」の果実なくして、「分配」を続けることはできません。「成長と分配の好循環」を創り上げてまいります。
(再分配 1ヵ所)
消費税率引上げ時に、地方法人税を拡充し、都市に偏りがちな税収の再分配を行うことで、過疎に直面する地方でも、財源をしっかりと確保してまいります。